仙台高等裁判所 昭和30年(て)225号 判決
本件裁判の解釈を求める申立の理由は、申立人は昭和二十六年九月二十九日仙台高等裁判所で詐欺同未遂罪により懲役六月(裁定通算六十日、法定通算百五十六日)の判決の言渡をうけ、該判決は確定し執行済みとなつたが、これに対し、一、文理解釈、二、論理解釈、三、沿革解釈、四、有権解釈、五、裁定通算に対する算入「未決勾留日数」方法を具体的に説明されたいというのである。
申立人に対する詐欺同未遂被告事件の記録に徴すれば、申立人は昭和二十六年四月二十七日青森地方裁判所八戸支部において詐欺同未遂罪により、被告人を懲役一年六月に処する、未決勾留日数中六十日を右本刑に算入する旨の判決の言渡をうけ、控訴して同年九月二十九日仙台高等裁判所において、原判決を破棄する、被告人を懲役六月に処する、原審における未決勾留日数中六十日を右本刑に算入する旨の判決の言渡をうけ、被告人は即日釈放され、該判決はそのまま確定して執行を終つたこととなつたものであることが認められる。ところで、刑事訴訟法第五百一条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは判決主文の趣旨が不明でその解釈につき疑義のある場合をいい、同条が裁判の執行編中に規定されている点等から考えれば、同条において裁判の解釈を求める申立を許した所以のものは判決主文の趣旨が不明で不当な執行を受けることのないようにするために外ならない。従つて、該申立をするには裁判の執行を前提要件とし、既に裁判の執行を終つた後においてはこれを許しても何等の実益がないから、かかる場合にはこれを許すべきものでないと解するのが相当である。本件において、所論の判決は既に執行済みとなつたものであること前叙のとおりであるから、該判決に対する解釈の申立は許されないわけである。
(裁判長裁判官 鈴木禎次郎 裁判官 細野幸雄 裁判官 杉本正雄)